News

センサーフュージョンの技術が、自動運転車の安全性を高める。

2021.08.02

 

真の自動運転車(AV)の実現に向けた競争が続き、新たな障害が発見されて実現時期が変化していく中で、どのような技術が最も成功してAVを一般の人々が安心して使える安全レベルに引き上げることができるのか、業界では重要な議論となっています。

 

実際には、一つの技術だけではなく、未来の自動車には多くの重要な技術が搭載されることになるでしょう。自動車業界の主要企業がすでに検討しているアプローチの1つに、センサーフュージョンがあります。これは、さまざまなセンサーからの入力を組み合わせて、車両周辺の環境についてより正確な単一の画像を形成するものです。

 

 

なぜセンサーフュージョンなのか?

例えるならば、人間と同様に考えて見てください。

 

私たちは、体内のさまざまな感覚器官を通じて周囲の環境を認識しています。視覚は日常生活において最も重要なセンサーですが、このセンサーから得られる情報は非常に限られています。そのため、聴覚や嗅覚など、他のセンサーを使って周囲の情報を補完する必要があります。

 

この考え方は、AVにも当てはまります。現在、AVや先進運転支援システム(ADAS)に使用されているセンサーは、カメラ、ライダー、レーダー、ソナーなど多岐にわたっています。これらのセンサーにはそれぞれ利点がありますが、同時に機能にも限界があります。

人々が日常生活を送る上で欠かせない自動車分野では、安全性が最も重要な価値観です。特にAVの場合は、一つ間違えばAVに対する社会的な不信感が募ることになります。つまり、自律走行技術によって多くの企業が目指す究極の価値は、より安全な運転環境の実現なのです。

 

センサーフュージョンの技術では、それぞれのセンサーが特定の情報の取得と分析に特化しています。そのため、周囲の環境を認識する上でメリット・デメリットが明確であり、解決するのは難しい制限事項もあります。

 

カメラは、車両や歩行者の分類、道路標識や信号機の読み取りなどにとても有効的です。しかし、霧や埃、暗闇、雪や雨などの影響で、その能力が制限される場合があります。レーダーやライダーは、物体の位置や速度を正確に検出しますが、物体を詳細に分類する能力はありません。また、色を見分けられないため、さまざまな道路標識を認識することができません。

 

センサーフュージョンの技術は、取得した様々な種類のデータを統合することで、データの歪みや欠落を解消します。センサーフュージョンのソフトウェアアルゴリズムは、単一のセンサーでは検出できない死角の情報を補完したり、複数のセンサーが同時に検出した重なり合うデータを統合して情報のバランスを取ったりします。これらの総合的な情報により、最も正確で信頼性の高い環境モデリングを提供し、よりインテリジェントな運転を可能にします。

 

カメラとライダー

センサーフュージョンは、自動車業界が追求する安全な運転環境という究極の価値を実現するために不可欠な技術の一つです。それでは、さまざまなセンサーの中で、なぜ業界がカメラとライダーの組み合わせに注目し続けているのでしょうか。

その答えは、カメラとライダーのデータを統合したときに得られる情報の完成度にあります。カメラとライダーのセンサーフュージョンは、あたかもコンピューターで三次元グラフィックを作成しているかのような、直感的で効果的な結果をもたらします。ライダーは物体の三次元形状を把握し、カメラの正確な二次元画像情報と同期させることで、三次元の物体にテクスチャを貼るように、周囲の環境を正確に再現します。

https://youtu.be/l20TptB53RE

 

自動運転車を私たちの日常の中に

より精度の高い自律走行技術を実現するための有効な解決策として、センサーフュージョンが注目されていますが、課題も残されています。自動運転車を日常生活に取り入れるためには、人の安全を完全に保証する技術的な信頼性と、さまざまな車種に適用できる汎用性が必要です。

 

上述したように、車両に搭載されるセンサーの数が増えれば増えるほど、周辺環境の認識の精度と信頼性は高まります。一方で、技術的に処理すべきデータ量が増えると、より高い演算能力を備えた高価なハードウェアが必要になります。

 

一つの解決策は、物体認識ソフトウェアの軽量化と効率化を図ることで、埋め込みプラットフォームでもAIによる物体認識を可能にすることです。

 

これによりコストを削減し、AVや高度なADASの普及に欠かせない「センサーフュージョン」などの高度な機能を実装するためにハードウェアの余裕を与えることに繋がります。

 

キム・ジュンファンは、自動車用画像処理ソフトウェアのサプライヤーであるStradVisionCEOです。